釧路のアイヌの名残 チャシって何?

Kushiro Ainu Fort Chashi
2023.08.11 文化

釧路市街地の城山という場所には、「お供え山」と呼ばれる小さな山があります。こちらの正式名称は「モシリヤチャシ」跡。チャシとは、アイヌの人々が築いた砦(城)のことです。基本的には、丘や岬、溝や崖などで周囲と区別された高い場所に築かれ、同じ市街地の春採湖にも「ハルトルチャランケチャシ」跡があります。これらは平成27年(2015年)に国の史跡に指定されました。
 


 

■モシリヤチャシ跡
Moshiriya Cashi
「モシリヤ」とは、アイヌ語で島のある川。その名の通り、近くには釧路川が流れています。チャシ全体の大きさは、直径170メートル、短径70メートルで、形は前方後円墳のように2つの山が連なり、やや高い本砦の標高は18メートルです。
 


 

餅を重ねたような形に見えることから、地元では「お供え山」と呼ばれ、この地域の城山という地名もチャシから名づけられたようです。江戸時代からの伝承によると、1751年にトミカラアイノというアイヌが築造したとされています。
 


 

現在、こちらのチャシは周囲に柵を設けて立ち入りを制限していますが、例年8月の山の日には一般開放しています。実際に登ってみると斜面が急で大変ですが、山頂は見晴らしがよく、昔のアイヌの気分になって市街地を見渡せます。
 

※モシリヤチャシ跡の見学については下記HPのURLをご覧ください。
 


 

■ハルトルチャランケチャシ跡
Harutorucharanke Cashi
同じく市街地東部の春採湖のほとりにある、半島のような丘のチャシ。「ハルトル」は春採という地名、「チャランケ」は裁判・談判を意味するアイヌ語です。チャシは戦いのためだけではなく、見張り場、儀礼・儀式、話し合いの場としても使われていたことがわかります。
 


 

全体の大きさは、東西30メートル、南北15メートルで、標高は12メートル。壕(ごう)と呼ばれる防御のための溝のほか、東側に竪穴式住居跡7個が確認でき、南側には船着き場があったようです。
 


山頂近くには「新釧路西国三十三ヶ所観音霊場」の石仏などが祀られています。

 


 

こちらはいつでも自由に立ち入ることができる場所で、山頂から眺める春採湖の景色が最高です。新緑、紅葉、結氷、積雪といった、季節ごとに移り変わる春採湖の風景を楽しむことができます。
 

釧路のチャシは観光的なスポットではありませんが、実際に登ってみて歴史の名残をたどり、アイヌを身近に感じてみませんか?
 

モシリヤチャシ跡
Moshiriya Cashi
 

■アクセス 釧路駅よりくしろバス武佐線で6分「仏舎利塔通」より徒歩4分、釧路駅より車で10分
■住所 北海道釧路市城山1
■電話 0154-41-5809(釧路市立博物館)
■HP https://www.city.kushiro.lg.jp/museum/bunkazai/1002737/1002739.html
 

※例年8月の山の日に一般開放。それ以外の見学については上記の電話番号にご連絡ください。

ハルトルチャランケチャシ跡
Harutorucharanke Cashi
 

■アクセス 釧路駅よりくしろバス(12番、17番、26番、55番)で10分「市立病院前」下車・徒歩8分、車で10分
■住所 北海道釧路市春湖台1-1
■電話 0154-43-0739(釧路市埋蔵文化財調査センター)
■HP https://www.city.kushiro.lg.jp/machi/kouen/1004517/1004529/1004530.html

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